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LUCENT ATHLETE FILES #04 「初めてのレースがジャングル。ワニやジャガーに怯えながら走る」若岡拓也選手

ルーセントアスリートを紹介する連載企画「LUCENT ATHLETE FILES 」の4回目は、トレイルランナー若岡拓也選手です。

元新聞記者としてペンを走らせていたのが、いつの間にかジャングル、砂漠、南極などで自らが走るようになった若岡拓也選手へのインタビューです!


――大自然の中を走るようになったきっかけはなんですか?
新聞記者をしていた頃に取材した方が、砂漠のレースを走っていました。とてもキツいと語るのに、ずっと笑顔のままで、それが印象的でした。30歳で退職した時に、砂漠レースのことを思い出して似たような大会に挑戦してみようと決めました。キツいのに楽しそうというのが面白そうで、ゴールする姿をまったくイメージできなくて、それで逆に興味が湧きました。好奇心をくすぐられたから走ってみるというのは今も変わりません。

――普通のランニングやマラソン、トレイルランニングでもよかったわけですか?
最初に知ったのが砂漠レースで、当時はトレイルランニングの存在さえ知りませんでした。出場しようとしたのは、食料や寝袋、着替えなどレースに必要な装備10kg程度を担ぎ、1週間で250kmを走る大会です。マラソンとは別物すぎて、同じジャンルのスポーツという認識がありませんでした。
情報として持っていたのは、足の爪が全部剥がれてしまい、水膨れだらけになるということくらいで、走ることに関してはまったく知識がありませんでした。本屋でスポーツ関連の棚を見ても、砂漠の走り方という本はないですし、途方に暮れていました。そんな状態なので、アウトドアショップで「砂漠を走りたいんですけど、どんな装備がいいですか?」と相談して、店員を困らせてしまいました。

――これまでで印象深かった場所はどこですか。
砂漠20カ国ほどレースで走ってきたのですが、日本以外だと特に思い出深いのは最初に挑戦したアマゾンのジャングル、南極、ブータンの山岳地帯、アタカマ砂漠です。ジャングルは初の挑戦だったこともあり、すべてが新鮮でした。どこまでも続く熱帯雨林や数km以上ある幅の大河に圧倒され、ワニがいる川を真夜中に200m泳いだり、ジャガーが生息する森を走ったりしました。

――初めてのレースでは砂漠ではなく、ジャングルだったんですね。
出場したかったサハラ砂漠のレースが10カ月後と、ちょっと時間が空いていて、その時に仕事をしていると出られるか分からないなと思い、3カ月後に出られるブラジルの「ジャングルマラソン」を選びました。

――どうなんでしょう……どちらにしても、最初に選ぶ大会ではなさそうですね。それにしても、いろんなところで大会が開催されるんですね。
そうですね、初めてのレースにはどうでしょう……ジャングルに行けたのは知らない人間の強みです。今だったら、きっと怖くて行けません(笑)。走るようになってわかったのは、人間が行ってみたいと思うところは、レースがだいたい開催されるということです。

――南極というのもちょっと想像しづらいですが、どんなところが印象的でしたか?
南極は行くだけでも大変でした。アルゼンチンまで1日がかりで行き、最南端のウシュアイアから、砕氷船に乗って2日間かかります。
南米大陸と南極大陸の間にあるドレーク海峡は、さえぎるものがなく、台風のような横風と、船が真横に倒れそうになるほどの大波に襲われます。
ベッドで横になっていると、右に左に転がるのですが、船酔いがひどくて何もできず、傾くがままに転がっていました。
そんな中でも、船のレストランで働くウェイターが何事もないように給仕していたのが驚きでした。レースが始まってからは、走りながら聞いていた氷河の崩れる音が印象的でしたね。南極の夏に開催されていたので、気温は0℃から-5℃くらいで、意外と温かかったです。

――レースで一番つらかった経験や成し遂げて嬉しかったことは何でしょうか?
完走した中では、ブータンの山岳レースがキツかったです。初日に高山病にやられてしまい、頭痛と倦怠感、吐き気などに絶えず襲われていました。標高5,000mを超える山岳地帯で、毎日リタイアと隣り合わせで5日間でした。4日目には最下位にまで落ちてしまい、ちょっと泣きました。完走できた時も達成感でこっそり涙していました。

――そうした極地や大自然を走る魅力は何でしょうか?
簡単に行けないようなところに自分の足で行くこと、その場所に立つこと自体が魅力です。本を読んで知識を得ること、取材して新しいニュースに触れることと似ているかもしれません。正反対のようで、知らないことに触れる喜びという点で本質的には同じなのかなと思います。

――レース以外の活動として、ルーセントやグループ会社・明日香野がサポートした「日本列島大縦走」もありますが、そうした活動についても教えていただけますか。
日本列島を1本のロングトレイルのルートに見立てて、北海道から鹿児島まで、山をつないで約4,500kmを走りました。海外のレースで、外国人選手から「日本を縦断できるようなルートはないの?」と聞かれて、そういえばないなあ。じゃあ作ってみよう!と考えて、日本の魅力を紹介したくて企画しました。
レースのように競うだけでなく、長い距離を走ることで、何かを発信するということも大事にしたいです。今年5月に地元・石川で、能登半島を350kmほど走りました。地震から1年以上が経って情報発信が減ってしまった現地の様子を、走ることを通じて伝えたかったからです。新聞や雑誌に取り上げていただけてよかったです。


――今後の目標や取り組みたいことなど展望を教えていただけますか
レースだと、サハラ砂漠で勝ちたいです。来年のエントリーに失敗しましたが(笑)。超長距離のチャレンジを続けつつ、誰かの助けになることにも取り組みたいです。10月にルクタスアドベンチャーズの「Trans Jeju by UTMB」オフィシャルツアーで選手をサポートして、こういう形でランニングに関わるのも、やり甲斐があっていいなと感じました。
レースサポートや伴走、チャリティーランなど、いろいろやってみたいです。

若岡 拓也|トレイルランナー

食料や寝袋などを背負って複数日を走るステージレースやトレイルランニングレースなどで活躍するランナー、時々ライターとしても活動(本人談)。北海道の田舎町にある空き家を購入しようかと検討中。

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