さまざまな競技で活躍するルーセントアスリートを紹介する連載企画「LUCENT ATHLETE FILES 」が始まりました。
初回はプロテニスプレイヤー 福田 勝志 選手です!49歳にして全日本選手権に30回出場という大記録を打ち立てた現役レジェンドのインタビューになります。

―― テニスを始めたきっかけを教えてください。
両親がテニス愛好家で、3歳くらいからコートに連れられて行ってました。もちろん、最初のうちは試合なんてできないから、手でボールを出してもらって打つという感じですね。
―― 物心がつく前からラケットを握っていたんですね。
そうなんです。それで幼稚園に入る頃には熱中してやっていました。試合にも出ていて、当時はその年齢でというのはレアだったと思います。ジュニア用ラケットもなくて、ウッドラケットの時代からスタートして、45年以上はプレーしていますね。
―― 40年以上にわたってプレーし続けられる魅力はなんでしょうか。
テニスの面白さは当然ですけど、全国や海外に行って試合をするのが楽しいんです。国内だけでも北海道から九州まで、全国を巡りました。
国際ポイントを取るとなると、世界各国を渡り歩きます。20カ国前後くらいは行っていて、タイだったり、カンボジア、中国、韓国などアジアが多いかな。たまにヨーロッパやニュージーランド、オーストラリアなどにも。
―― 印象深かった国はありますか。
駆け出しというか、下積み時代に初めて行ったインドです。実績のない若手は、他の選手があまり行きたがらないようなところに行って、試合をするんですね。日本の若手の間でインドは人気がなかったですね。道に牛が歩いていて、そのせいで渋滞が起きたり(笑)。
―― 神聖な動物だから、街中を自由に歩き回ってますね。
僕はインドの雰囲気が嫌いじゃなかったんで、遠征としては10回くらい行きましたね。インド料理も好きです。そういう遠征も面白いんですね。ベテランの大会でも、また行ってもいいかなと思ってます。知らない文化、生活に触れるのが苦手だと現役を続けるのが難しいですね。
と言っても、空港からホテル、会場に行って帰ってで終わり、街を見れない遠征もあります。あとは試合に負けたり、疲れがたまっていると、早く日本に帰ろうという気持ちが強くなります。
毎回、1日くらい多く泊まってみるのもいいかなと考えるけれど、実際に行くと観光には出ないんですね。
―― どうやってリフレッシュしていますか。
子どもが3人いて、一緒に過ごす時間が一番のリフレッシュになります。遠征に行っている時は、バスケをやっている次男の映像を見たり。もちろん、試合を見に行ける時は応援に行って、一番下の子がテニスをやっているんで、それを見たり。
―― 今まででもっとも嬉しかった瞬間はありますか。
やっぱり全日本に30回出場できたというのが一番です。自分にとっての集大成ですし、なかなか他の人にはできない記録だと思います。全日本で優勝するとなると、本当の才能であったり、運が必要になりますが、1回出るならハードルは下がります。でも、それを続けていくのはとても難しい。
この年齢になると、対戦するのは若い選手が多くて、30歳以下の選手ばかりです。初めて全日本に出た時には、まだ生まれていない選手ばかりなんです。
―― 現役生活が長くなると、さまざまな逆境を経験されていると思いますが、そうした逆境とどうやって向き合っていますか。
逆境でも優勢でも変わることなくできることを丁寧にするようにしています。それが自分の持ち味でもあります。試合で負けている時や、気持ちが落ちていく時、あかんなと思う時もありますけど、1本ずつこつこつ丁寧にやっていく。劣勢でも、1本取れて流れが大きく変わるということはありますし、一喜一憂せずに積み重ねていくだけです。
だから、一方的に勝つという試合はあまりないんです。相手の出方をうかがいながらラリーをつなげていって、相手の嫌なところを探ってやっていく。相手が焦れてきたところでポイントを取る。こつこつやるスタイルなのは、性格的に我慢強いのがもともとあるかなと思います。
―― 体、メンタル、技術は時間の流れで変わり続けていきますが、その中で現役を続ける難しさはないですか。
全盛期と比べてしまうと、ギャップはあります。けれど、今から20代の体を手にいれることも、当時のパフォーマンスを追いかけることはできませんし、そこは自分と向き合いながら、こういうものだろうと思いながら受け入れてやっています。
今年は国内大会に勝てていないので、葛藤はあります。去年は1、2回戦でも勝ちがあったけど、今年はまだなくて。
―― どういった部分に葛藤されているのでしょうか。
今はベテランの大会だと、年齢のくくりで同じ土俵でやれるので、そっちの世界に入っていくのか、そっちに行かずに一般の部で戦うのかという部分での葛藤です。1年1年厳しくなっているのは現実としてあって、どういう方向性でやるかというのは悩んでいます。
負けが続くとメンタル的にキツいですよ。45歳くらいから負けるというのが増えてきていて、それがけっこうツラいんで、どうしようかなというところはあります。
とはいえ、一般の部で全日本の舞台で、年齢の刻みがないところで勝負したいという思いがまだ強いです。今年の全日本に出場できる可能性が厳しいながらもまだありますし、その目標があるからモチベーションが保てています。毎年、気持ちをリセットしてがんばれています。
―― 今後の目標は?
全日本に30回出られたのは誇りですけど、また新しい1回を積み重ねたいですし、途切れたとしても、またリセットして挑戦し続けたいですね。来年で50歳を迎えますが、節目を作らずにやりきりたいです。ベテランで世界一を目指すというのも考えていますし、世界の大会に出てポイントを稼いでいきたいです。
福田 勝志|プロテニスプレイヤー

安定したストロークと最後までボールを追い掛ける粘り強いプレーが特徴の現役最年長プロテニスプレイヤー。22歳でこの世界に足を踏み入れて、全日本テニスランキングシングルス9位まで上り詰めました。
Instagram:@katsushi1976
