2019年、船水颯人選手がプロ宣言し、記念すべきソフトテニス界初のプロ選手が誕生しました。その後、2020年に船水雄太選手もプロ宣言。船水雄太プロが所属するAAS Managementは、ソフトテニスプレーヤーに特化したマネジメント会社で、業界初の試みです。
マイナースポーツと呼ばれていたソフトテニス界に新しい風が吹き始めたと、多くの方が感じたのではないでしょうか。そして2020年にはさらに、3人目のプロが誕生しました。
それが芳村玲プロです。
船水颯人、雄太両プロはずっと活動を続けてきたプレーヤーですが、芳村プロは就職を機に一線から退いていたにもかかわらずソフトテニス界へカムバックした異色の経歴の持ち主。
どんな方なのか、どんな活動をしていくのか、知りたい!
ということで、ご本人に突撃インタビューしてみました!
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――ソフトテニスを始めたきっかけは何ですか?
小学生のときは、わんぱく相撲に野球に合唱……いろいろやっていました(笑)。野球は6年部活に入っていましたし、わんぱく相撲は県大会で優勝もしました。でもテニスには触れていなかったんです。
ですが、小学6年生のときに始まったんです。
『テニスの王子様』*1が。
――なるほど! ドンピシャの世代なんですね。
そうなんです(笑)。それで、地元で開かれていてソフトテニスの体験レッスンを受けたんです。『テニスの王子様』は硬式ですが、当時は硬式とソフトの違いもわかっていませんでした。とにかく「テニス」というものに触れてみたかったんです。もう本当に、ボールをラケットで跳ねさせよう、くらいの体験でしたけど、ドハマりしました。
――そして中学で部活に入ると。
そうですね。練習に打ち込んで、全中(全国中学校大会)に出場できました。1回戦が村田匠選手(現在プロチーム「AIM」に所属)で、ギャラリーがめちゃくちゃいたのを覚えています。都道府県優勝者だったので、そのときから有名だったんですよ。
僕は敗者復活で出たので「絶対負ける……」と思っていましたが、勝てたんです! それが芳村が初めて少し有名になった瞬間です(笑)。
――その後もずっと続けていたんですか?
そうです! 高校はインターハイ出場、関東団体2位、ハイジャパ(ハイスクールジャパンカップ)にも出場しました。大学でもソフトテニス部に入部して競技を続け、インカレ団体ベスト8に入りました。
――ポジションはずっと前衛ですか?
大学3年生のときに前衛に転向しました。なんとなく最初に後衛になったのでそのまま続けていたんですよ。あと、球をちゃんと打てたことも後衛だった理由かなと思います。ですが、もともと前に出るのが好きなタイプだったので前衛になりました。後衛を経験していたので、意識した動きはできていると思いますね。
――芳村プロはどういうプレーが特徴なんでしょうか?
心理戦で相手のペースを乱して、自分のゲームに持ち込タイプです。相手との駆け引き、それを有利に進めるトリッキーなプレーも好きですね。小峯(秋二)さんと試合をしたときにも使ったんですが、サーブ前のバウンド中にいきなりカットサーブを打ったりとか。
あとはエンタメ系も好きですね。股抜きとか。
魅せるプレーが、見るのもするのも好きですね! 見ている人に楽しんでほしいんです。
――思い出に残る試合はありますか?
やはり村田プロを破った全中の試合ですね。あとは、大学時代にインカレ王者に勝った試合も思い出深いです!
――卒業後は働いていたということですが、どうしてプロになろうと思われたんでしょうか?
卒業後はメガバンクに勤めていたのですが、そんななか船水兄弟がプロ宣言をして、「ソフトテニスのプロって何なんだ?」という疑問がスタートですね。
大学時代から個人的にソフトテニスのレッスンを開いていたり、ソフトテニス自体は続けていたんですよ。そしていろいろ調べていく内にソフトテニスへの情熱が燃え上がり
「自分もやろう!」
となったわけです。
そこから自分のビジョンに共感してくださるスポンサー探し、発表の方法、SNSの準備など約半年かけて仕込みました。
プロ宣言についてはnoteにまとめてあるので、ぜひ見てほしいです!
――YouTubeでの発表には、大きな反響があったと伺いました。
本当に驚くくらいの反応をいただきました。すごくありがたかったですね。PR TIMES(さまざまな企業のリリース情報を配信するサイト)でも、僕のプロ宣言のリリースが上位に入っていました。ただ、初動がすごかった分、そのあとが大変だなと。
――どういう点でしょうか?
アピールポイントですね。僕はすごい戦績があるわけではないし、試合に出続けて活躍しているわけでもありません。一線を離れていたわけですから。だから今は、プロとしての活動実績を付けていかなければならない時期なんです。
――具体的にどういった活動を行うんでしょうか?
全国を巡って講習会を実施します。主に中学生を対象としたイベントです。
【重大発表Part3】
— 芳村 玲(Rei Yoshimura) (@Yoshirei_OA) 2020年11月30日
よしれい、動きます。
全国9ブロックで
よしれいとの交流講習会を開催します。
(主に中学生が対象)
コロナの状況、国や県の方針を見ながらになりますが、この競技を支えている中学生に対してできる限りのことをしてあげたい❗️
詳細や応募方法などは
後日改めて発表します✨ pic.twitter.com/wkBfDHZZCT
どうして中学生かというと、ソフトテニスの部活人口って中学生ではトップクラスなんですよ。でも高校に入るとガクンと落ちます。
それは「成功体験」を得られていないからなんだと思います。
ソフトテニスを始めても、大会に出て3回戦で負けるプレーヤーがほとんどなんですよね。勝ち上がれるのは1割、という状況。だから、ほとんどの子が、ソフトテニスの楽しさをきちんと味わえていないというか。上手くなったという感覚が得られていない。
それは、配球を少し変えたり、意識を変えたり、ちょっとしたことで得られることなんだよ、ということを中学生のうちに教えたいんですよね。ソフトテニスをずっと楽しんでもらえるように。
このイベントはルーセントさんに協力していただけるので、とても心強いです!
――一緒にソフトテニスを盛り上げていきましょう! 参加するにはどうすればいいのでしょうか?
いろいろなSNSで情報発信をしていますが、このイベントだとLINE@がいいですね。
ぜひ登録お願いします!
――これまでの活動を振り返ってみてはいかがでしょうか。
動画やイベント、講習会などいろいろやることがあってめちゃくちゃ忙しいなというのが第1。そしてお金がないというのが第2。
もちろん想定通りです。が、わかってはいても忙しいわりにお金がないことは、正直厳しいですね。講習会の講師として参加したときにいただいた野菜などで生活しています!
僕はプロとしての姿を若い人たちに見せたいと思っているんですが、それってソフトテニスでお金を稼げている姿なんです。つまりはスポンサー契約ですね。まだまだ遠い目標ですが、そこを目指しています。
――東京インドア2021について印象を教えてください。
今回の投票はすごく面白い試みですよね。みんなで楽しめるお祭り的な感じがしました。僕も投票させていただきましたが、実はもっと投票があるのかなと思っていました。また同じような機会があったときには、2倍3倍の投票があるように、ソフトテニス業界をもっと盛り上げていきたいですね。
当日は僕も観に行きます! 楽しみです!!
――前日の13日には講習会も実施していただきます。
はい、先ほどもお伝えしたような、ちょっとしたことで上手くなる感覚が得られるイベントにしたいです。僕が得意な心理戦のコツをお教えします!!
・試合に勝てない
・もっと上手くなりたい
そんな想いを持っている方はぜひ受けてほしいです。
詳しくはコチラをご覧ください!
――ちなみにプロ宣言の動画もそうですし、そのほかの動画でもルーセントのウェアを着用いただいていますが、何か理由があるのでしょうか?
単純に好きだからですね! 高校時代の部活のウェアがルーセントで、結構攻めたデザインだったんです。それがすごく印象に残っていて。なので、プロ宣言するときも着ようと思い、注文しました!
でも住所を間違えてしまって、撮影予定日に届かないというアクシデントがあったり(笑)。
これからもお世話になります!
――よろしくお願いします! 最後にソフトテニスプレーヤーのみなさんにメッセージをお願いします。
新しい風をソフトテニス界に吹かせて、どんどん盛り上げていきます!
いまソフトテニスをプレーしている人も、昔やっていた人も、僕のように離れてたけど再開した人も、一緒にソフトテニスを楽しみましょう!
――ありがとうございました!
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芳村プロはとても気さくで明るい方でしたが、同時に現状を冷静に分析し、対策を練るクレバーな面も持っていると感じました。すごく真摯にソフトテニスに向かい合い、盛り上げようという情熱にあふれており、今後の活動から目が離せません!
ルーセントも協力していきますので、芳村プロの応援、ぜひよろしくお願いいたします!
<芳村玲プロ>
note(活動実績など報告されています)
YouTubeチャンネル Official よしれい
*1:甲斐剛先生による漫画。青春学園中等部テニス部に入部した越前リョーマが、さまざまなライバルと戦い成長する姿を描いた。「週刊少年ジャンプ」で1999年から2008年まで連載。コミックス全42巻。メディアミックスでも爆発的な人気を呼び、特にミュージカルはいわゆる2.5次元舞台の先駆けといわれる。続編の『新・テニスの王子様』が「ジャンプスクエア」で連載中。